業務用・木製ハンガーメーカー、オリジナルハンガー実績多数の中田工芸

2019.08.19

『木製ハンガーの材料のお話』

中田工芸のハンガー

兵庫県にある自社ハンガー工場の入り口には1本のブナの木が立っています。2008年に工場を改築した際、「ハンガー工場の目印に」と植えたものです。中田工芸のハンガーは、80%以上この「ブナ材」を使用しています。今回は、そんなブナ材に関するお話です。

ショールームのご来店されたお客様が、ハンガーラックをご覧になって「ハンガーにも色々な素材がありますね」とよく言われることがございますが、実はほぼすべてが、「ブナ材」です。
塗装カラー・塗装方法によって様々な表情を表現できる材料ですので、アパレル業界のハンガーに最適な材料です。

なぜブナ材を使うのか。
・木目が細かくつるつるすべすべしている。
→ 衣類に優しい。
・硬くないので加工し易いが、非常に粘り強く、丈夫。
→ 耐久性・様々な形状の実現。
・曲げ木に最適な木質。
→ 美しい曲線。

が主な理由です。

ハンガーショールーム

きめ細かい木目のブナ材は、研磨すると表面がすべすべになります。そのため塗装した製品の肌触りはとても滑らかで生地を傷つけることはありません。木目を活かした仕上げでは、高級感や素材感を出し、塗り潰し塗装では表面にデコボコのないつるつるの表面に美しく仕上がります。

加工し易い木質は、中田工芸の職人の技術で多様な形に加工できます。そして、粘り強いので丈夫です。 粘り強さはフックやアンダーパーツなど、打ち込んだ金具パーツを抜けにくくするのにも役立つ特質です。

加工し易い木質

蒸して曲げる昔ながらの曲げ木加工に適しています。曲げる力に耐える粘り強さと、曲がった状態をキープするきめ細かい木目のブナだから綺麗に曲がり、ハンガーに最適な曲線を実現できます。(主にシャツハンガー)

そんなハンガーに最適なブナの木は、保水力の大変優れた樹木であり、その実が動物の餌になるなど森にとって良い効果をもたらすため、昔から森の豊かさを象徴する木でもあります。しかし水分をたっぷりと含む特性上、材料としては、乾燥は難しく、乾燥が十分でないとねじれや狂いが生じやすいため、利用価値のない、役に立たない木であると言われてきました。一説には、「ブナは役立たずの木だ、木として利用価値がない、木で無い木だ」ということから、漢字で「木偏に無」と書いたと言われています。

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現在では乾燥技術が向上し、加工しやすく・仕上げも美しい良材として、様々な家具や玩具などに利用されるようになりました。今では非常に貴重な天然資源になってしまったブナですが、古くから活用しているヨーロッパでは安定供給の仕組みができています。大きくなりすぎたブナは、十分に酸素を作リ出すことができなくなり、やがて二酸化炭素をはき出すようになります。こうしたブナを計画的に伐採することで、十分な日光と酸素を森の中に注ぎ入れ、新たな若い苗木の成長を育みます。これを計画伐採といいます。
このような色々な理由から「 木製ハンガー = ブナ材 」が定着しました。
また、天然木材の一番の魅力は何と言ってもその自然な風合いを楽しめることでしょう。色、肌ざわり、質感、木目、そのどれもが木本来のままです。人工物では表せない経年変化してゆく風合いも楽しめます。ショップでは、お客様が一番触れることのある什器はハンガーだと思います。その風合いをお客様が感じて頂ければ、私たちもうれしいです。