業務用・木製ハンガーメーカー、オリジナルハンガー実績多数の中田工芸

2020.03.30

『日本のハンガーの歴史』

中田工芸では、以前よりハンガーの歴史について調べております。ハンガーがどのように生まれ、 どのように日本に伝わって、今のハンガーになるのか。驚くほどハンガーの歴史に関しての資料が世の中にはありません。仮説も交えて、色々調べていくと新たな発見もあり面白いです。まだまだ、途中段階ではありますが、今回は日本のハンガーの歴史を一部ご紹介します。

衣紋掛け(えもんかけ)

古来より、日本では衣紋掛け(えもんかけ)や衣桁(いこう)と呼ばれる道具が使用されていました。現在の家庭用ハンガーが洋服を収納することが主な役割だとすると、これらは少し異なり、 着物や振り袖、和装を掛けたり干したりするために掛けるためのものです。収納よりも、和服を乾燥させる役割の方が大きいのです。

衣桁(いこう)

また、衣桁(いこう)については、ハンガーというよりも家具としての役割が大きく、衝立式と屏風式があり、漆塗や蒔絵のあるものは上等品で、棹の両端には金銅の飾金具がつきます。 実用品として使われるほか、色彩の乏しい寝殿造の建物の中で、 華やかな衣装を掛けた衣桁は室内装飾としての意味も大きいものでした。

箪笥(タンス)


尚、和服の収納に関しては、畳んで、竹製の行李(コウリ)や箪笥(タンス)に入れることが一般的でした。 箪笥の特徴は何といっても引き出しを備えたことで、これにより、大量の衣類や持ち物を効率よく収納できるようになりました。ただし、行李に比べ、多くの材料と高度な技術を必要とする箪笥は、高価な品物であったため貧しい庶民にまで箪笥が広まるのは、江戸時代末期からです。

ハンガーの歴史 ハンガーの歴史

◆【和服から洋服へ】
ハンガーの歴史は服の歴史とも通じます。


日本で最初のハンガーの物体そのものは明治時代に外国人によってもたらされたか、海外に渡航した日本人が持ち帰ったと推測されます。
明治以降、洋服が普及するにつれて日本には、まずコートハンガーが伝わりました。衣桁と同様に箪笥に収納する前に乾燥させる役割があるものでした。
そのためか当時はコートハンガーと言っても、今のような立体的な肉厚のものではなく、衣紋掛けに近い平らなものが多く、大きな和装ハンガーがコンパクトになったようなものでした。明治から昭和20年以降にかけて、洋服が主流になるにつれて立体的なハンガーが伝わったと考えられます。

日本の衣服・和服・着物

日本の衣服・和服・着物 : 古来より生地を直線に切り取り平面で縫い合わせる平面裁断。
洋服 : 曲線を用いて裁断された生地を様々な技法によって立体的に作り出したもの。
昭和30年代後半、プラスチック素材の登場により、日用品からハンガーに至るまであらゆる分野でプラスチックが使われるようになりました。大量生産で安価なプラスチックハンガーは、流通ハンガーとして今でも多くのアパレル様が利用されています。

その後、スチールやアルミ、様々な素材はハンガーの材料として登場します。現在では、用途に合わせてハンガーの素材や形状も選ばれる傾向がございます。
洗濯用にはプラスチック製やアルミ製、クリーニングには針金ハンガー、収納には温かみのある木製ハンガーなど様々です。
畳み収納が主流だった和服から、立体的な洋服に移り変わる時代の変化により、箪笥からクローゼットに移り変わり、ハンガーに掛けて収納することが一般的になっていきます。生活スタイルが変わると、使う道具も変化していきます。
当たり前に使っている道具には、色々な時代背景があります。呼び方、形状、使用用途まで変化することが非常に興味深いです。これを世界規模で考えると、もっと様々な歴史があると思います。引き続き、ハンガー屋として、「ハンガー」について調べていきます。